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分子スケールナノサイエンスセンターの新設 分子研リポート2001 | 分子科学研究所

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Academic year: 2018

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将来計画及び運営方針 251 分子科学研究所は,設立以来,分子素子や分子エレクトロニクスの基礎研究を特別研究の主題に取り上げるなど,井 口洋夫教授を中心に有機半導体・有機超伝導体の研究において多くの成果をあげてきた。近年,化学と物理の分野で は,分子を特有の引力を利用して集合化させたり,分子ビームエピタキシャル法やマニュピレーションによる人工的 積層法によって機能性の高い分子スケール構造体表面を作成したり,分子の機能を活かした分子スケールエレクトロ ニクスを実現しようという動きが世界的に高まっている。また,物質の機能や物性は,分子がナノメーター次元の大 きさの集団になって初めて発現することが多いことが明らかになっている。即ち,分子科学がこれからの5年あるい は10年の間に解明しようとしている重要なテーマが,ナノスケールの分子構造体の問題であると言える。過去の10年 間にも,研究所のメンバーによって世界的な研究が発表され,所内の多くのグループがナノサイエンス研究へその軸 足を移行させてきた。

このような学問の急速な進展状況に対応するため,分子科学研究所でも積極的に大がかりなインフラ整備を行う必 要性が高まり,最も効果的に研究を発展させるには,「分子スケールナノサイエンスセンター」を設置して適切な人材 をここに集め,集中的に研究を推進させることが不可欠であるとの結論に至った。欧米に於いては,既にこのような 研究センターが次々と設立されつつあり,今後熾烈な競争が展開されるであろう。世界の最先端を行く研究を継続し, 更に大きな研究成果を期待するためには,全国の共同利用研究機関としての分子科学研究所が積極的に人材と設備を 集中化させ,研究センターを設立し,周辺の研究者を巻き込んだ大きな研究体制を作り上げることが急務である。こ のセンターの実現によって,分子科学研究所は分子を扱う我が国の中心的研究所として,ナノサイエンス推進の中核 としての真の責務を果たすことができ,更に多くの優秀な人材を育てることができるであろうと期待される。

平成13年4月24日の将来計画委員会で,分子スケールナノサイエンスセンターを設置し研究系と研究センターの枠 を越えた新しい共同研究の場を E 地区を中心として設置することが認められ,5月21日の運営協議員会議の議を得て, 文部科学省との概算要求の交渉が開始され,年末の財務省原案に盛り込まれた。平成14年4月1日から発足予定のこ の全く新しいセンターは,教授6,助教授8,助手6を正式な構成員として擁し,更に8名の助手が加わる予定であ るし,技官の方も加えると,総勢30名以上の大所帯となる。特に,このうち8名は全国の国立大学からの流動教官に よって構成される。

センターは3つの大部門と2つの流動部門から構成される。分子科学研究所に大部門が導入されるのは初めてであ るが,大部門における教授・助教授の数は3名以上であり研究計画に応じて流動的な構成が可能となる。現在,計画 されているのは,「分子金属素子・分子エレクトロニクス研究大部門」「ナノ触媒・生命分子素子研究大部門」「ナノ光 計測大部門」であるが,前の2つは名前が長すぎるので,略称を考えなければならないだろう。何をやろうとしてい るかが,判るような名称になっている。いずれの大部門も1−2名の教授と2名の助教授が構成員となるが,3名の 新規教授ポストが認められ,9名は,分子物質開発研究センター,電子構造研究系,分子集団研究系,などからの振 り替えとなる。これに,「分子クラスター研究部門」と「界面分子科学研究部門」の2流動部門8名が加わる。これら の流動部門は,ナノサイエンスに適した看板をもつため研究内容の整合性が高い。全国の国立大学の分子科学あるい はその周辺領域の研究者の中で,積極的にこの分子スケールナノサイエンスセンターの中で研究を展開しようとする グループあるいは個人に対して,2年の間,場所と研究費を提供し,センターの中での活発な研究交流を通してより 大きな成果を出せるような「場」を提供することになる。

平成14年度には,センターの建物も認められることとなった。もともとの計画では,分子物質開発研究センターと して移転する予定の建物として計画されたが,新センターの発足ということでその建設が予想より早まった形である。

5-2 分子スケールナノサイエンスセンターの新設

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252 将来計画及び運営方針

現在,E 地区に統合バイオサイエンスセンター棟および各種の研究支援棟が建設中あるいは計画中であるが,「分子ス ケールナノサイエンスセンター棟」はこの北東に6階建てで建設される予定である。しかしながら,建設計画は新規 の教授3名の増加と流動2部門の参加を見込んでいないため,新たな建物を近くに建設する必要がある。これは,他 の研究所と合同の建物として電子顕微鏡やS T Mなど特別に振動を嫌う装置群専用の部屋を用意したものにしなければ ならないであろう。

ナノサイエンスは分子科学にとって辿るべき自然の道であると言えるが,既に,我々はポストナノサイエンスの時 代に入っているといっても過言ではない。この道を更に先導して行くために着実な成果を重ねてゆくと同時に新たな 扉を目指して進まなければならないであろう。

参照

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